うまくいえないひとたち。

analfriskerのつどい

マドラー

竹久が目を覚ましたとき、聡子は歯を磨いていた。「今日は遅いのね」。今日は遅番の日だった。聡子が自分の皿を洗い始めたところで竹久はベッドから起き上がった。「今日はあの男のところに、行くのか」聡子はなんの逡巡もなく肯首した。竹久は、聡子が用意…

鏡の部屋

セツナは左手の小指の爪を丹念に整えた。他の指、ましてや足の指などはただただ身体の白い排泄が無くなるところまで切るのみであったが、左手の小指の爪だけはセツナにとってなくてはならないものだった。その透き通るような白、それに続く滑らかな艶色。セ…

ブラックペアン1話

ブラックペアン1話。ネタバレ多数。 普段はテレビを全く観ない生活をしているのでドラマなんて週一で追いかけられるはずもなく、かといってわざわざ録画する程の情熱もなく。しかしミーハーな母が録画して観ていたのでラジオ感覚で聞いていたら思ったよりも…

雨と傘と。

ここ数年ずっと使っていた傘 強風に煽られて骨が折れ、ついに壊れた 何てことのない、どこのコンビニにでもあるようなビニール傘 初めて二人きりで遊んだ日、予報外れの雨が降り出して 二人でコンビニに駆け込んで 本当は君のぶん一本で良かったのに ひとつ…

うかびあがる

「いい加減にしろ」という言葉を電話越しに聞いて、もう耐えているのがばからしくなった。 ここ数か月だけの話ではない、きっともっとずっと昔から積み重なっていたものがいよいよ無視できなくなってしまった。 迷惑や心配をかけているのがお前にはわからな…

愛には色んな定義があって。 人の数だけ愛があって。 定義もない認識もされていないただそうある愛があって。 例えば10年好きでいたらそれは愛と呼べるっていうのを聞いたことがある。 ずーと前テレビでどこかのお坊様が言っていた。 愛は初めからそこにある…

2018/01/01/11:58

2017年に片づけられなかったことがすべてやってくるのが2018年であって、結局仕切り直しとかできないじゃんか、ということになったのがいまです。 どうもおはようございます、管理人です。 2017年に記事一本あげようとしてたんですけどね、隣にいたひとがマ…

眠りの部屋

さかさまの気球が空から落ちてくる。燃料が布から染み出して、落ち行く先のわたしの服を滴の模様で染めた。この汚れは落ちないかもしれない。お気に入りの服だったけど。それでも気球はわたしに向かって落下してきた。気球ってどれくらいの重さなのだろう。 …

2017.12.14 消印 Y→K

お手紙ありがとう。限りある時間をあなたと過ごしたいというあなたからの言葉が嬉しかったです。私もあなたも、お互いの両親にまだ紹介し合ってはいないけれど、どうしてだろう、一緒にいて触れ合った肌の地平に永遠がいつも見えるのです。その先を信じてみ…

離島のすゝめ(1)

今年の春はもう駄目だった。 駄目だったと言えばいつもそうだけど、半年前に両親がくたばって、同棲していた婚約者と別れ、会社を辞め、加えていつもの鬱と不眠だ。さすがにもう駄目だった。落合南長崎の十九番線ホームで、朝から夜までそこにいた。逆立ちで…

〈11月手紙企画〉

○○さんへ。 寒くなってきて、空も街もキラキラして。写真を撮るには素敵な季節の到来ですね。 …と、いざ手紙を書こうして、本当は長々と書いたのだけれど。 結局、消しちゃった。 なんだか、たくさんの言葉を並べても、何ひとつ伝わらない気がして。 だから…

秋の日

生活の匂いが好き。 わたしが吐き出した煙草の煙を厄介そうに睨みつけながら、そう言ったあなたの部屋には、ライターも、芳香剤のひとつもなかった。 ベランダに座り込んで煙草を吸っていたら、向かいのアパートの一室の明かりが不意に呆気なく消えて、その…

〈11月手紙企画〉

○○様へ 立冬も過ぎて、日に日に寒くなりますね。いかがお過ごしでしょうか。 最近すこし不思議なことが起こりまして、それをお伝えしたく筆を執りました。 ある朝、新宿駅でのことです。目の前で男性が500円玉を落としました。拾って声をかけようとしました…

依存症

「依存してたんだよ」私はつい先日、簡単に言えばふられた。いつかこうなると予測できていたし、覚悟もあったので、ああやっぱりか、という気持ちだった。その日バイトから帰ってきて2時くらいになりとても辛く古くからの友人に事情を話すと言われた一言がこ…

11月企画「手紙」

深夜に起きているだろう君へ 伝えたいことなど、特にないのだけれど、電波を介すのも、直接君とお話するのも飽きたので、手紙を書くことにしました。 僕の字は読みづらくないですか? 丁寧に書いたつもりだけれど、もしかすると、読みづらいところもあるかも…

〈11月手紙企画〉

To Y こんにちは。台風も過ぎ去って、だんだん秋が肌に慣れはじめてきて、からたがきちんと冬を迎える準備をしはじめる頃合いですね、いかがおすごしですか。といってもきっとここに書いてもどうせきちんとは見ないでしょうから、思いっきり普段ならあなたに…

最後の晩餐

こんばんは。はじめましてのかたははじめまして。ずっと書きたいことたくさんあったのにすごくお久しぶりになってしまいなに書きたかったのか忘れてしまいました。かおるんです。なぜ今日は書くぞと思ってちゃんと書けているのかと言いますと、なんと!明日1…

いつまでもゆううつなひとたち

あなたたちがどんな気持ちで飛び降りたのかは分からない。 *** 誰かが一言『上っ!』と呟けば、上方になにか得体の知れない不安が膨らんでゆく。そういう時代だった。パキシルとロヒプノールとセルシンをすり鉢に放り込んで、何食わぬ顔で学校に向かう学生で…

《10月企画バトン》ハッピーエンド

彼女いない歴=年齢がそうでなくなったのは高校二年の冬だった。 女子どころか男子と話すのすらあまり得意でなかった僕に彼女が出来るなんて少しも思っていなかった。それまでの人生で一番驚いて、その驚きは間もなくして幸福感に変わっていった。 付き合い…

。ばたばたと叩きつけるように雨が降っている。目が痛くなるほどに眩しいネオンに囲まれた駅前、ハザードランプが縦並ぶロータリー。忙しなく入れ替わり続ける車たちに、濡れる肩もいとわず駆け寄っていく人々の表情は、今の天気に似合わず華やいでいた。 わ…

《10月企画バトン》20代最後の日

何も代わり映えしないルーティンの中で、数字がひとつ増え、10の位が変わる。たったそれだけのことをいかに楽しめるか。そういうチャレンジをしてみたんですけどね。 本当に何も、何も変わりなく、穏やかに日は過ぎていき、ただ満ち足りて暮らすことしかでき…

《10月企画バトン》冬の味覚

10月でこのブログが1才のお誕生日を迎えたそうで。おめでとうございます。 秋が好きなので、秋生まれなのが羨ましいです。 ~・~・~・~ 生まれた季節は春だが、秋に惹かれてしまう。 日が短くなっていく感覚、肌寒い気温、秋色の服が好きだ。ご飯もおいし…

《10月企画バトン》夏がくるたび

茜色がすぼみ、静かに広がる紺色が深くなる様を、時おり見上げながら歩く。 全身にまとわりつく熱く湿った空気とは、コンクリートの建物の中へ足を踏み入れたとき、別れた。ひんやりとした空気のなか、階段を昇っていく。 盛んと働く換気扇の音が聞こえ、懐…

《10月企画バトン》お酒とわたしとその後

自分はどうもお酒だけで酔おうとすると、かなりの量を費やさないといけないということが判明したのが、1年前くらいのことで。 そこから飲む時と吸う時が重ならないように、と思って過ごしてきたので、基本的に人前や1人で外で飲んでいてもどちらかに傾倒する…

気温と記憶

この季節になると毎年思い出す。 昔、といっても大学生の頃のはなし。 私は美術の大学に通っていました。森とくっついたような田舎の大学。 野生の猿はコンビニの袋をかっぱらっていくし、森で簡素な囲いだけで飼ってるシカはすぐ脱走する。なぜか敷地の中央…

《10月企画バトン》 世話ばかりかけちまったな。

いやぁ、映画って本当に、素晴らしいですね。どうもこんばんは、水野忠邦です。 さてさて先日までストレングス猿であった私めにも、なにやら文章を書く順が回ってきたようですね。 さぁ〜〜てお題は何かね。今の私は戸愚呂で言えば80%の出力。本部以蔵で言…

《10月企画バトン》電球色

おはようございます! こんにちは! おばんです!(こんばんはのこと) 老若男女知らないひととも気軽に挨拶を交わす田舎で育ちました。 幼い頃、近所に住まう大人の女性たちは主婦であることが多かったように思います。 夏には夕方6時冬には夕方5時を知らせる…

ドレミの歌

ド~は「ドラゴン・タトゥーの女の」のド~ レ~は「レオン」のレ~ ミ~は「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」のミ~ ファ~は「ファイナルデッドコースター」のファ~ ソ~は「ゾンビランド」のソ~ ラ~は「ランド・オブ・ザ・デッド」のラ~ シ~は「ジュマ…

7664日目が、おそらく今日だ。 よくもまあ生き延びてきちゃったな、とおもう。 去年の今頃はもう少し希望に満ち溢れていたんだけど、なんか改めて振り返るとクレイジー極まりない1年だったなということしか思い浮かばない。 しかもいまは全然そんな希望に満…

《10月企画バトン》「無限大な夢のあとの

何もない世の中じゃ」これは私の好きな歌の歌詞の一部。小さいときの私はこの曲が主題歌のアニメがすごく好きだった。キャラクターのぬいぐるみは持っていたし、アニマックスで放送されていたものを録画して何度も何度も見た。最終話の感動シーンはYouTubeで…