うまくいえないひとたち。

analfriskerのつどい

2017-01-01から1年間の記事一覧

眠りの部屋

さかさまの気球が空から落ちてくる。燃料が布から染み出して、落ち行く先のわたしの服を滴の模様で染めた。この汚れは落ちないかもしれない。お気に入りの服だったけど。それでも気球はわたしに向かって落下してきた。気球ってどれくらいの重さなのだろう。 …

2017.12.14 消印 Y→K

お手紙ありがとう。限りある時間をあなたと過ごしたいというあなたからの言葉が嬉しかったです。私もあなたも、お互いの両親にまだ紹介し合ってはいないけれど、どうしてだろう、一緒にいて触れ合った肌の地平に永遠がいつも見えるのです。その先を信じてみ…

〈11月手紙企画〉

○○さんへ。 寒くなってきて、空も街もキラキラして。写真を撮るには素敵な季節の到来ですね。 …と、いざ手紙を書こうして、本当は長々と書いたのだけれど。 結局、消しちゃった。 なんだか、たくさんの言葉を並べても、何ひとつ伝わらない気がして。 だから…

秋の日

生活の匂いが好き。 わたしが吐き出した煙草の煙を厄介そうに睨みつけながら、そう言ったあなたの部屋には、ライターも、芳香剤のひとつもなかった。 ベランダに座り込んで煙草を吸っていたら、向かいのアパートの一室の明かりが不意に呆気なく消えて、その…

〈11月手紙企画〉

○○様へ 立冬も過ぎて、日に日に寒くなりますね。いかがお過ごしでしょうか。 最近すこし不思議なことが起こりまして、それをお伝えしたく筆を執りました。 ある朝、新宿駅でのことです。目の前で男性が500円玉を落としました。拾って声をかけようとしました…

依存症

「依存してたんだよ」私はつい先日、簡単に言えばふられた。いつかこうなると予測できていたし、覚悟もあったので、ああやっぱりか、という気持ちだった。その日バイトから帰ってきて2時くらいになりとても辛く古くからの友人に事情を話すと言われた一言がこ…

11月企画「手紙」

深夜に起きているだろう君へ 伝えたいことなど、特にないのだけれど、電波を介すのも、直接君とお話するのも飽きたので、手紙を書くことにしました。 僕の字は読みづらくないですか? 丁寧に書いたつもりだけれど、もしかすると、読みづらいところもあるかも…

〈11月手紙企画〉

To Y こんにちは。台風も過ぎ去って、だんだん秋が肌に慣れはじめてきて、からたがきちんと冬を迎える準備をしはじめる頃合いですね、いかがおすごしですか。といってもきっとここに書いてもどうせきちんとは見ないでしょうから、思いっきり普段ならあなたに…

最後の晩餐

こんばんは。はじめましてのかたははじめまして。ずっと書きたいことたくさんあったのにすごくお久しぶりになってしまいなに書きたかったのか忘れてしまいました。かおるんです。なぜ今日は書くぞと思ってちゃんと書けているのかと言いますと、なんと!明日1…

《10月企画バトン》ハッピーエンド

彼女いない歴=年齢がそうでなくなったのは高校二年の冬だった。 女子どころか男子と話すのすらあまり得意でなかった僕に彼女が出来るなんて少しも思っていなかった。それまでの人生で一番驚いて、その驚きは間もなくして幸福感に変わっていった。 付き合い…

。ばたばたと叩きつけるように雨が降っている。目が痛くなるほどに眩しいネオンに囲まれた駅前、ハザードランプが縦並ぶロータリー。忙しなく入れ替わり続ける車たちに、濡れる肩もいとわず駆け寄っていく人々の表情は、今の天気に似合わず華やいでいた。 わ…

《10月企画バトン》20代最後の日

何も代わり映えしないルーティンの中で、数字がひとつ増え、10の位が変わる。たったそれだけのことをいかに楽しめるか。そういうチャレンジをしてみたんですけどね。 本当に何も、何も変わりなく、穏やかに日は過ぎていき、ただ満ち足りて暮らすことしかでき…

《10月企画バトン》冬の味覚

10月でこのブログが1才のお誕生日を迎えたそうで。おめでとうございます。 秋が好きなので、秋生まれなのが羨ましいです。 ~・~・~・~ 生まれた季節は春だが、秋に惹かれてしまう。 日が短くなっていく感覚、肌寒い気温、秋色の服が好きだ。ご飯もおいし…

《10月企画バトン》夏がくるたび

茜色がすぼみ、静かに広がる紺色が深くなる様を、時おり見上げながら歩く。 全身にまとわりつく熱く湿った空気とは、コンクリートの建物の中へ足を踏み入れたとき、別れた。ひんやりとした空気のなか、階段を昇っていく。 盛んと働く換気扇の音が聞こえ、懐…

《10月企画バトン》お酒とわたしとその後

自分はどうもお酒だけで酔おうとすると、かなりの量を費やさないといけないということが判明したのが、1年前くらいのことで。 そこから飲む時と吸う時が重ならないように、と思って過ごしてきたので、基本的に人前や1人で外で飲んでいてもどちらかに傾倒する…

気温と記憶

この季節になると毎年思い出す。 昔、といっても大学生の頃のはなし。 私は美術の大学に通っていました。森とくっついたような田舎の大学。 野生の猿はコンビニの袋をかっぱらっていくし、森で簡素な囲いだけで飼ってるシカはすぐ脱走する。なぜか敷地の中央…

《10月企画バトン》 世話ばかりかけちまったな。

いやぁ、映画って本当に、素晴らしいですね。どうもこんばんは、水野忠邦です。 さてさて先日までストレングス猿であった私めにも、なにやら文章を書く順が回ってきたようですね。 さぁ〜〜てお題は何かね。今の私は戸愚呂で言えば80%の出力。本部以蔵で言…

《10月企画バトン》電球色

おはようございます! こんにちは! おばんです!(こんばんはのこと) 老若男女知らないひととも気軽に挨拶を交わす田舎で育ちました。 幼い頃、近所に住まう大人の女性たちは主婦であることが多かったように思います。 夏には夕方6時冬には夕方5時を知らせる…

ドレミの歌

ド~は「ドラゴン・タトゥーの女の」のド~ レ~は「レオン」のレ~ ミ~は「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」のミ~ ファ~は「ファイナルデッドコースター」のファ~ ソ~は「ゾンビランド」のソ~ ラ~は「ランド・オブ・ザ・デッド」のラ~ シ~は「ジュマ…

7664日目が、おそらく今日だ。 よくもまあ生き延びてきちゃったな、とおもう。 去年の今頃はもう少し希望に満ち溢れていたんだけど、なんか改めて振り返るとクレイジー極まりない1年だったなということしか思い浮かばない。 しかもいまは全然そんな希望に満…

《10月企画バトン》「無限大な夢のあとの

何もない世の中じゃ」これは私の好きな歌の歌詞の一部。小さいときの私はこの曲が主題歌のアニメがすごく好きだった。キャラクターのぬいぐるみは持っていたし、アニマックスで放送されていたものを録画して何度も何度も見た。最終話の感動シーンはYouTubeで…

《10月企画バトン》愛を込めて花束を

みなさん、秋の夜長にこんばんは♡タイムラインに舞い降りた、プリティーキュートなツイガール☆ことあんしんちゃんです♡今1番悩んでることは、明日かれぴっぴのお家にお泊まりするかどうかなの~♡もう疲れたのでこのキャラやめますね。改めましてこんばんは…

適切なフィクションに関する独り寝

仕事がつらくて、苦しい。恋人と一緒に過ごす夜は、しずかであたたかく、やわらかい時間の手触りがある。愛している、というよりも先に朝が来て、もうひとりで玄関の扉をあけなくてはならない。そこには逃げ場所や逃げ道がなく、私はどうしようもなく不適切…

《10月企画バトン》絵描きの幸福

おちうること。あなたのまね。とべぬこと。飛び魚のはね。叫ばぬこと。ときのしらべ。ノートルダムの鐘。わたしのゆめ。赤い屋根。溶けだす殻。清らかな水。くぐりぬける木陰。わたしは、立っていた。濡れた土のつめたさと足の肌の熱さを感じて。わたしは、…

《10月企画バトン》いつかのある日の記憶。

一定のリズムを刻むモーターの音を聞きながら、眠りに落ちた。その中で、珍しく夢を見た。正確には、結婚していたときの記憶の欠片を夢という形で思い出したにすぎない。 ――― 雨続きだった6月頃だったのだと思う。仕事を終えた私は、遅かったこともあり、外…

9月29日

。「やっぱりあのときに捨てちゃえばよかったね」と、冷蔵庫を覗きながらしかめっ面で言うあなたになんだか寂しくなって、その日は寝返りがやけに気になった。 お箸もお茶碗も、リモコンの位置も、煙草の吸い方も、不機嫌の直し方も、笑えるぐらいに簡単に馴…

要るか? | 仕事のはなし

チョリ~ッス、こんちわ。タマです。前回書いたキッズ向けのような映画レビューの記事から、だいぶ日があいてしまいました。このごろ仕事が落ち着いてきて暇なので、普段感じている仕事への葛藤を少し書きたいと思います。私はデザイナーとして5年目になり…

理性と分別と感性

昨日大学で講義を受けていたんですけど、そこで聞いた内容がなんとなく印象に残っているので書き留めておきます。その講義ではイギリスにおける「子ども」を巡る意識や生活文化、社会福祉のあり方について考察しています。昨日は歴史とか公民とかで名前を聞…

オイ1年。焼きそばパン買ってこいよ。

Q. なんでパシリが買いに行かされるのは決まって焼きそばパンなの?なにか元ネタがあるんですか? A. 銀魂の沖田ってキャラクターが元ネタだと思う。 こんなやり取りを見かけたことがあります。 おい、待てや1年。シャシャり出てきてパロディが売りの漫画…

モグラ

。 青からグレー。 モグラの目を「退化」とわたしたちは云います。 ならば、わたしはまいにち、かかさず「退化」しているね。ほんとうに、ほんとうのことは、わたしたちが見えている先にはなくて、それは立派な人間の、立派な「退化」だった。 やがて、オレ…