うまくいえないひとたち。

analfriskerのつどい

公園

 

 

彼らがそこに行く時は、いつも夜であった。だから彼らは、そこについて何か思い浮かべる時に一番初めに、三本のぼんやりと灯されている、曇った空に浮かぶ月のように淡い光を放つ街灯を思い出す。

 

その時には、その街灯の内一本の下に、蛙が、まるでこの公園の主であると言わんばかりに、黙ることが威厳を見せる時には有効な手段になり得ることを知っているかのようにして、そこに佇んでいた。

 

「蛙だ。」
「随分とでけえな、」
「寝てるのかな、全然鳴かない。」

 

闖入者である二人の会話だけが、静かに響いた。二人はお互いのどんな言葉も聞きもらさぬよう、あるいは伝えそびれることのないように、小さな声で話し、耳を兎のそれよろしくそばだてていた。

 

この場所は、闖入者である彼らを憎みもしないし、愛しもしない。ただひたすら彼らを受け入れる。その日の夜は星が寒天の中できらめく金箔のように浮かんでいたが、その場所から空を仰ぎみても二人の視界を埋めるのは、お互いにぶつからないようにして背を曲げている木々が頭を垂れている光景のみである。


彼らは二人に空を見させない。彼らは皆、二人に二人の姿しか見させない。
そこには二人の声と、雨に濡らされて漂う木々と土の匂いと、お喋りを決してしようとはしない蛙だけである。