9月29日
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「やっぱりあのときに捨てちゃえばよかったね」と、冷蔵庫を覗きながらしかめっ面で言うあなたになんだか寂しくなって、その日は寝返りがやけに気になった。
お箸もお茶碗も、リモコンの位置も、煙草の吸い方も、不機嫌の直し方も、笑えるぐらいに簡単に馴染んでしまって、すぐ剥がれ落ちてしまいそうでくすぐったかった。
「いらっしゃい」と言ってあなたが迎えてくれてからいままでも、この部屋の居心地なんて微塵も良くないけれど、ここにいなければ、あなたから私は綺麗にいなくなってしまう気がした。
「あと一日ぐらいだいじょうぶだよ」と笑いながら答えたけれど、いつか捨てられてしまう私は他人事になんて思えず、本当は怖かった。
あなたに、どうしようもない私を、どうにも取れないぐらいにこびり付かせたいんだ。