漂流、過剰な自意識と刃
「変わっている」という評価に苦しめられ始めたのは、いつ頃からだろう。
麻薬だ。「変わっている」という言葉は、他の人とは違うという陶酔と、他人と違い続けなければならないという義務感を与える、麻薬。気づいたときには、自分が何者でもないという事実を突きつけられ、過剰な自意識に溺れ死ぬ。
あるいは刃だ。言葉を受けるたびに、深く深く傷つくのに、誰にもSOSを出せない。血だらけなのに、戦いをやめることができない。それ以外、人との関わり方を知らないから。そうやって刃を受けることが、他人からの認識を実感できる、唯一の方法だ。
僕は異常じゃない。
「大人の付き合い」は、ゆるやかに、でも確実に死に至らせる。
自分と真剣に関わろうとしない人たちの中で、心が孤独に死んでいく。
僕は、異常なんかじゃないのに。
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