うまくいえないひとたち。

analfriskerのつどい

かわいそうな子

かわいそうな子はかわいそうな子です
かわいそうな子には昔、名前がありました
でもかわいそうな子は名前を忘れて無くしてしまったので、かわいそうな子になりました

かわいそうな子はかわいそうな子です
だからかわいそうな子はうつむきました
うつむいたら本があったのでそれを読みました
必死に文字を追いました
だけど何にもわかりませんでした
だけど必死に文字を追いました

存在と神について必死に考えました
でもそれは実際、髪でも良かったのです
てもやっぱり、髪ではなかったのです

必死に考えると文字が時間とそのまま流れ落ちていきました
その音は歪すぎて、かわいそうな子をすり減らしました

だからかわいそうな子は耳もイヤホンでふさぎました
もう外のことは何もわかりません

かわいそうな子が俯いて自分への賛美歌を聞いてる間に、何もかも過ぎ去ってしまいます
かわいそうな子は何も覚えずにただ忘れていきます
「ナイヨウハ、サヨナラサヨナラ。」

逃げ込んだ図書館で心を閉じてしまったかわいそうな子は
そのまま気づかない振りをして目を閉じたいのです

目を閉じたいのです。
「ミンナシアワセヲカミシメテイテ」
かわいそうな子はかわいそうというセイシツを手に入れます
かわいそうなセイシツはこうかく語りき、
「セカイノ、カナシミヨ、アア、セカイノカナシミヨ、ンン…ナンダッケ?エイエンハ、エイエンダトオモイマス。」
それを聞いたかわいそうな子はこう叫びました
「オヤスミ!」
目を閉じたいのです。